身体障害者手帳 肢体不自由 障害程度等級表解説

2 各項解説


(2)下肢不自由

ア 両下肢の機能障害

両下肢機能の障害認定については、両側ほぼ同程度の障害があることを前提として、各々の障害程度等級における動作・移動能力の具体的な例は次のとおりとする。
なお、評価にあたっては、下肢全体の関節可動域、筋力テスト、動作・活動の自立度などから支持性、運動性を総合的に判断することとする。

(ア) 「全廃」(1級) とは、下肢全体の支持性と運動性を失い、立っていること及び歩行の不可能なもの

(イ) 「著しい障害」(2級) とは、独歩は不可能であるが、室内における補助的歩行(補装具なし)の可能なもの

イ  ー下肢の機能障害

(ア) 「全廃」(3級) とは、下肢の運動性と支持性をほとんど失ったものをいう。
具体的な例は次のとおりである。
  a. 下肢全体の筋力の低下のため患肢で立位を保持できないもの
  b. 大腿骨又は脛骨の骨幹部偽関節のため患肢で立位を保持できないもの

(イ) 「著しい障害」(4級)とは、歩く、平衡をとる、登る、立っている、身体を廻す、うずくまる、膝をつく、坐る等の下肢の機能の著しい障害をいう。

具体的な例は次のとおりである。
  a. 1km 以上の歩行不能
  b. 30 分以上起立位を保つことのできないもの
  c. 通常の駅の階段の昇降が手すりにすがらねばできないもの d 通常の腰掛けでは腰掛けることのできないもの e 正座、あぐら、横座りのいずれも不可能なもの

(ウ) 「軽度の障害」(7級)の具体的な例は次のとおりである。
  a. 2km 以上の歩行不能
  b. 1時間以上の起立位を保つことのできないもの
  c. 横座りはできるが正座及びあぐらのできないもの

ウ 股関節の機能障害

(ア) 「全廃」(4級)の具体的な例は次のとおりである。
  a. 各方向の可動域( 伸展← → 屈曲、外転← → 内転等連続した可動 域)が10 度以下のもの
  b. 徒手筋力テストで2 以下のもの
  c. 股関節に人工骨頭又は人工関節を用いたもの

(イ) 「著しい障害」(5級)の具体的な例は次のとおりである。
  a. 可動域30 度以下のもの
  b. 徒手筋力テストで3に相当するもの

(ウ) 「軽度の障害」(7級)の具体的な例は次のとおりである。
  a. 可動域が90 度以下のもの
  b. 徒手筋力テストで4 に相当するもの
  c. 小児の股関節脱臼で軽度の跛行を呈するもの

エ 膝関節の機能障害

(ア) 「全廃」(4級)の具体的な例は次のとおりである。
  a. 関節可動域10度以下のもの
  b. 徒手筋力テストで2以下のもの
  c. 膝関節に人工骨頭又は人工関節を用いたもの
  d. 高度の動揺関節

(イ) 「著しい障害」(5級)の具体的な例は次のとおりである。
  a. 関節可動域30度以下のもの
  b. 徒手筋力テストで3に相当するもの
  c. 中等度の動揺関節

(ウ) 「軽度の障害」(7級)の具体的な例は次のとおりである。
  a. 関節可動域90度以下のもの
  b. 徒手筋力テストで4に相当するもの又は筋力低下で2km 以上の歩行 ができないもの
  c. 軽度の動揺関節

オ 足関節の機能障害

(ア) 「全廃」(5級)の具体的な例は次のとおりである。
  a. 関節可動域5度以内のもの
  b. 徒手筋力テストで2以下のもの
  c. 足関節に人工骨頭又は人工関節を用いたもの
  d. 高度の動揺関節

(イ) 「著しい障害」(6級)の具体的な例は次のとおりである。
  a. 関節可動域10度以内のもの
  b. 徒手筋力テストで3に相当するもの
  c. 中等度の動揺関節

(ウ) 「軽度の障害」(7級)の具体的な例は次のとおりである。
  a. 関節可動域30度以内のもの
  b. 徒手筋力テストで4に相当するもの
  c. 軽度の動揺関節

カ 足指の機能障害

(ア) 「全廃」(7級、両側の場合は4級)の具体的な例は次のとおりである。
  下駄、草履をはくことのできないもの

(イ) 「著しい障害」(両側の場合で7級)とは、
  特別の工夫をしなければ下駄、草履をはくことのできないものをいう。

キ 下肢の短縮

原則として前腸骨棘より内くるぶし下端までの距離を計測する。

ク 切断

大腿又は下腿の切断の部位及び長さは実用長(大腿において坐骨結節の高さより計測したもの)をもって計測する。
従って、肢断端に骨の突出、瘢痕、拘縮、神経断端腫その他の障害があるときは、その障害の程度を考慮して、上位の等級に判定することもあり得る。


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